第145回北海道歯科技工学術研修会報告
理事 濱本 範俊
さる9月12日(土)室蘭プリンスホテル[室蘭市]で第145回北海道歯科技工学術研修会が開催され、株式会社札幌メディカルラボ 代表取締役社長 箕輪雅宏先生より『これからの未来へ「想像と創造」』、Dental Labor GmbH Gross 高瀬直先生より『歯牙形態学の実際』のご講演をいただきました。
箕輪雅宏先生からは、歯科技工士がおかれている厳しい現状の中でも、見方や捉え方を変えていかに想像的に生きていくか、肯定的に考えるかについてのご講演でした。
歯科技工士養成学校の閉校や閉科、男性歯科技工士の減少、女性歯科技工士の増加、若年歯科技工士の離職、就業歯科技工士の高齢化など、我々の業界の環境は日々厳しい状況へと変化しており、新しい形の業界構造への変化を必要としています。
今の現状を悲観的に捉えるのではなく、肯定的に解釈しながら歯科技工業界の新しい形を創造し挑戦していくことが重要になります。変わることより変わらないことの方がリスクになる時代です。歯科技工業界の固定観念だけに捕われず、俯瞰し明るい業界の未来を創造することが必要だと考えさせられました。
高瀬直先生からは、歯型彫刻の意義や重要性だけでなく、歯牙形態の捉え方、再現の仕方など、臨床応用に焦点を当てたご講演でした。
我々の仕事の目標は、患者の口腔の失われた機能あるいは審美性を回復し、幸せになってもらうことです。歯科技工士にとって、歯型彫刻とは全ての基盤となるトレーニングであり、学生時代には積極的に取り組んできました。しかし、国家資格取得後は臨床経験年数と歯型彫刻の機会は反比例します。実際、臨床経験年数が長い歯科技工士ほどオリジナルな形態になりがちで、解剖学的な歯牙形態からは離れていってしまっている様にも感じられます。
歯型彫刻とはさながらアスリートにとっての筋肉トレーニングに等しいものであり、永続的な修練によって得られる臨床技工力は想像を超えるものがあります。
解剖学的な歯牙の形態が歯周組織を守り、咬合を安定させ、顎関節を正常に機能させる事が既知の事実であるならば、歯型彫刻の訓練は直接的に患者の健康に寄与すると考えられます。
最後になりましたが、今回ご協力していただきました皆様に心よりお礼申し上げます。