第59回 北海道歯科技工学術大会報告

札幌歯科技工士会 高山 光

 平成27年1月17日(土)12時15分より札幌全日空ホテルにおいて、第59回北海道歯科技工学術大会が開催され、会場は320名を超える参加受講者で席を埋め尽くしました。

 会員研究発表は、札幌歯科技工士会の鈴木宮穂子氏が「CAD/CAMの可能性」、同じく札幌歯科技工士会の植田歩氏が「歯科技工士のやりがいと職場環境について」と題して発表されました。共に女性である演者が女性比率の高まっている歯科技工業界で、CAD/CAM導入より、女性歯科技工士の目指す道や、女性の活躍の場も広がる可能性など、女性が安心して働きやすい環境を整えるための取り組みについて発表されました。

 講演1は、日技認定講師である佐藤幸司先生より「総義歯臨床学のガイドラインと根拠」と題して講演していただきました。総義歯の臨床技工で大切なことは、担当歯科医師による正確な印象採得と咬合採得から、人工歯配列を適切なガイドラインにより、患者固有の顎堤に沿って効率よく実践することだとされていますが、日常の臨床において、絶対的な診断法の確立は未だに完成されていません。臨床で迷った症例に遭遇した場合に、根拠ある臨床的ガイドラインがあれば、経験値のみではなく、より効率的な咬合平面の設定と咬合術式が重要となります。上下顎の臨床模型を組織学的に分析し、歯冠修復学・インプラントの歯科技工にも役立つBPSの補綴的ガイドラインを、より客観的にお話しいただきました。また、桑田先生との歴史をスライドでご紹介いただきました。

 講演2は、クワタカレッジ校長である桑田正博先生より「歯科界におけるチーム医療の在り方 修復治療の変遷、そしてこれからの歯科治療」と題して講演していただきました。1960年代初め、金属焼付ポーセレン開発当初に行ってきた臨床、1970年代にはどのような過程を経て発展してきたのか、そして1980年代の成熟期に行ってきた修復治療が、2000年代に口腔内でどのように機能しているのか、臨床を経年的に、数十年にわたって検証していただきました。貴重なスライドの数々に、会場からも感動の声が溢れていました。

 講演3は小樽商科大学商学科 准教授 現代商学専攻 加藤敬太先生より「歯科医療従事者における経営センスの磨き方」と題して講演していただきました。良い歯科医療を世に提供するためには、経営学を学ぶことは不可欠であり、歯科医療ならではの価値創造に向けて手探り経営から脱出する方法と、考え方を伝授していただきました。やはり価値づくりの経営にはヒトが重要で、価値創造とは「こと創り」です。そいて、ビジネスモデルの実践にとって大切な人材になること、育てることをお話しいただきました。

 大寒も近く交通機関が止まる中、全国から多くの歯科医師、歯科技工士、歯科技工士学校学生の参加者にお集まりいただいての学術大会は大盛況に終る事が出来ました。最後になりましたが、今回ご協力していただきました皆様に心よりお礼申し上げます。

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