平成27年度第2回北海道歯科技工技術研修会報告
理事 濱本 範俊
さる3月26日(土)札幌コンベンションセンター[札幌市]に於いて平成27年度第2回北海道歯科技工技術研修会が開催され、Dental Labor GmbH Gross 高瀬直先生より『歯牙形態学の実際』のご講演と共に、実習形式での歯型彫刻を行いました。ご講演は、歯型彫刻の意義や重要性だけでなく、歯牙形態の捉え方や再現の仕方など、臨床応用に焦点を当てた内容となりました。歯型彫刻の実習では、歯牙形態を機能的・解剖学的に再現し、日々の臨床にどのように応用していくか等のレクチャーを含むものでした。
我々の仕事の目標は、患者の口腔の失われた機能あるいは審美性を回復し、幸せになってもらうことです。歯科技工士にとって、歯型彫刻とは全ての基盤となるトレーニングであり、学生時代には積極的に取り組んできました。しかし、国家資格取得後は臨床経験年数と歯型彫刻の機会は反比例します。実際、臨床経験年数が長い歯科技工士ほど、オリジナルな形態になりがちで、解剖学的な歯牙形態からは離れていってしまっている様にも感じられます。
歯型彫刻とはさながらアスリートにとっての筋肉トレーニングに等しいものであり、永続的な修練によって得られる臨床技工力は想像を超えるものがあります。解剖学的な歯牙の形態が歯周組織を守り、咬合を安定させ、顎関節を正常に機能させる事が既知の事実であるならば、歯型彫刻の訓練は直接的に患者の健康に寄与すると考えられます。